治療実績
はじめに
3年続いたコロナ感染症による行動抑制がようやく終わり、日常が戻ってきました。当院の手術症例もかなり増加しました。
やはり適切な時期に適切な治療を行うことが非常に大切で、予定手術は回復も早く、術後の生活も全く損なわれません。
弁膜症では内視鏡で行う小切開手術(MICS)も可能です。重症化してしまう前に受診していただければ幸いです。
当科はいかなる状況に置きましても、重症例、緊急例を含めて断らない医療を継続していきます。緊急手術を要する状況ではご一報ください。すぐに対応いたします。
心臓血管外科 院長 畔栁 智司
2023年 岸和田徳洲会病院心臓血管外科 手術実績
単独冠動脈バイパス 94例 (MAZE、左心耳切除 併施含む)
Off pump CABG |
78例(83.0%) |
緊急/準緊急手術 |
42例(42.6%) |
単独弁膜症 62例 (それぞれMAZE、左心耳切除 併施含む)
大動脈弁置換 |
23例 (MICS 16例 初回AVRでのMICS施行率は73%) |
僧帽弁形成 |
19例 (MICS 18例 三尖弁併施3例 MICS施行率は95.0%) |
僧帽弁置換 |
10例 (MICS 4例 初回MVRでのMICS施行率は50.0%) |
2弁以上の合併手術 |
10例 |
緊急/準緊急手術 |
4例(6.5%) |
単独大動脈(open) 90例
上行部分弓部置換 |
42例 |
全弓部置換 |
28例 |
大動脈基部置換 |
7例 |
大動脈基部+全弓部置換 |
5例 |
その他 (下行-胸腹部 広範囲置換など) |
8例 |
緊急/準緊急手術 |
62例(68.9%) |
複合手術 48例
冠動脈バイパス+弁膜症 (それぞれMAZE併施含む)15例 |
大動脈弁+冠動脈バイパス |
4例 |
僧帽弁+冠動脈バイパス |
7例 |
2弁以上+冠動脈バイパス |
4例 |
弁膜症+大動脈 14例 |
大動脈弁+上行部分弓部置換 |
11例 |
大動脈弁+全弓部置換 |
2例 |
僧帽弁+上行部分弓部置換 |
1例 |
冠動脈バイパス+大動脈 10例 |
冠動脈バイパス+上行部分弓部置換 |
4例 |
冠動脈バイパス+全弓部置換 |
6例 |
冠動脈バイパス+弁膜症+大動脈 5例 |
その他の合併手術 4例 |
緊急/準緊急手術 |
11例(22.9%) |
その他の心臓手術 16例
心房中隔欠損症 |
2例 (MICSにて施行) |
左室破裂 |
5例 |
肺動脈血栓除去 |
4例 |
左室内血栓 |
2例 |
その他 |
3例 |
緊急/準緊急手術 |
9例(56.3%) |
-----開心術 310例 緊急/準緊急手術 128例(41.2%)
胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR) 50例 緊急/準緊急手術 15例(30.0%)
経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR) 131例 緊急/準緊急手術 5例(3.8%)
心尖アプローチ |
2例 |
鎖骨下動脈アプローチ |
1例 |
大動脈アプローチ |
2例 |
大腿アプローチ |
126例 |
-----心臓胸部大血管手術 合計491例
その他の胸部手術 29例
腹部大動脈瘤 (総腸骨動脈瘤含む) 96例 緊急/準緊急手術 16例(16.7%)
開腹人工血管置換 |
49例(緊急手術6例) |
腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR) |
47例(緊急手術10例) |
末梢血管手術(バイパス 血栓除去 他) 46例 緊急/準緊急手術 21例(45.7%)
その他(シャント造設 他) 72例
-----総手術件数 734件
急性大動脈解離 stanfordA 65例 全例緊急手術
総手術件数
心臓血管外科の総手術件数は非常に多くなりました。また、TAVIが始めって以来減少傾向にあった開心術(OPCAB+人工心肺症例)も久しぶりに300例を超えました。
TAVIとTEVARと開心術を合わせたものを心臓胸部大血管手術としてカウントしておりますが、こちらもかなり増加しました。
MICS
MICS(低侵襲心臓手術)の症例は年々増加傾向です。現在はすべて完全内視鏡下手術としております。内視鏡下手術の患者様への利点は、傷が小さいこと、痛みが軽いことです。
外科医にとっても非常に視野がいいので、確実な手術ができます。心臓手術に躊躇する方がおられましたらご連絡いただけましたら幸いです。
腹部大動脈瘤
腹部大動脈瘤の手術件数はおおむね同数からやや減少傾向にあります。大動脈瘤は突然死を引き起こす非常に怖い病気です。
胸部はなかなか見つからないこともありますが、腹部はおなかの拍動から自分でも気づくことができますし、ほかの病気の検査で比較的見つかりやすいです。手術適応になったら早期の手術をお勧めします。
過去にステントグラフト治療へかなり舵を切った時期がありましたが、やはり長期にわたる観察で、再発のリスクなども見えてきましたので、少し開腹手術へ戻しています。
患者様の年齢、体の状態、瘤の形状からベストな治療法を提案させていただきます。
血管内治療
カテーテル治療、ステントグラフト治療の状況です。やはりカテーテル治療の威力は絶大です。高齢者や合併症のある患者様にとってはこれ以上ない福音になります。
しかしながら、長期成績では不利な点もあります。当院では循環器内科医との協力のもと、最適て治療を提案しています。まずは一度相談いただけましたらと思います。