形成外科
治療方法
眼瞼下垂症
眼瞼下垂症とは、まぶたが垂れて十分に開かない状態のことをいい、多くは加齢によって起こります。
まぶたのかぶりを代償しようと、眉毛を上げてよりよく見ようとすることがあり、自分では軽度と判断してしまうことがあるので、症状にあてはまれば、医師の診察を受けてください。治療には医療保険が適応されます。
【症状】
見え辛い、まぶたが重い、高く上がった眉毛、眠たそうな目、おでこの深いシワ、目の疲れ、その他身体の不調:頭痛、肩こり、イライラ感など
【眼瞼下垂症のまぶた】
まつ毛の生えているまぶたの縁の辺りの皮膚の下に、けんばんと呼ばれる固い板があり、 これにまぶたを引き上げるための腱膜が付着しています。この腱膜が緩むことでまぶたが開かなくなった状態が眼瞼下垂です。
【手術の方法】
麻酔は局所麻酔で行います。
手術開始時にとても細い針で1分ほどかけて優しく注射の麻酔を行い、その後は基本的に無痛です。
加齢による眼瞼下垂症では、腱膜の力が弱っている場合には、まつ毛の上の皮膚を切り、腱膜を短くする方法を行います。所要時間は両側で60分ほどです。
※手術のリスクとしてはドライアイ・乱視・見た目の左右差・再発などがあります。
【治療の流れ】
・手術当日
仰向けで手術台に寝ていただき、手術を受けます。術後は上まぶたにガーゼが当たりますが、目は見えています。
・手術翌日
日帰り手術では外来に受診、入院では朝に担当医が診察します。ガーゼを外します。洗顔・入浴・シャワーは術翌日から可能です。
・術後5~7日目
抜糸します。5分程度で終わり、痛みはほとんどありません。抜糸を終えると化粧をすることが可能になります。
・術後1, 3, 6か月目
腫れは2週間でほぼ引きますが完全に引くには3か月かかります。担当医の診察を受けて、経過観察をします。場合によっては、追加で手術を行うことがあります。問題なければ術後半年で通院終了です。
まぶたが開きづらいなど目のまわりで気になる症状がある方、お困りの方は一度当科にご相談下さい。
脂肪腫
脂肪腫は、皮膚の下に発生する軟部組織の腫瘍の中では、最も多くみられる良性の腫瘍(できもの)です。
【症状】
さまざまな部位に形成されるものですが、背中にできるケースが多いです。
大きさは数mmの小さなものから、直径が10センチ以上に及ぶものまでいろいろです。
通常、痛みなどの症状は無く、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりとして触れます。
【検査の方法】
超音波(エコー)検査やMRIの画像検査で、大きさや深さを確認します。大きさによっては針生検(腫瘍の一部を採取し病理検査)を行います。
【治療の方法】
脂肪腫に対する治療法は手術による摘出です。小さなものは、局所麻酔の上での日帰り手術が可能です。大きなもの、筋肉に癒着しているものは、一般的に入院と全身麻酔の上で手術が行われます。
【手術の方法】
摘出術では、腫瘍の上を切開し、被膜を破らないように周囲組織から剥がして、摘出します。摘出後は、血腫(血が溜まる)を予防するため十分に止血し、必要に応じてドレーン(血抜きの管)を挿入し圧迫固定します。
皮膚にしこりを触れ気になる方、お困りの方は一度当科にご相談下さい。
腋臭症(えきしゅうしょう)
腋臭症とは、わきの下が特異な悪臭を放つ場合を言い、「わきが」とも呼ばれています。
腋臭の原因は、腋毛の下にある「アポクリン腺」から出る汗で、その汗に含まれる脂質・タンパク質が皮膚表面の細菌の作用で分解され特有のにおいを生むとされています。
【手術の適応】
手術の適応になるのはにおいが強い場合です。においの感じ方には個人差があるので、患者さんはとても悩んでいるにも関わらず、においの程度がごく軽い(ない)場合があります。このような時には手術はお勧めしません。
【手術の方法】
手術はわきの下の皮膚切開からアポクリン腺の分布している層を、剪刀(せんとう・外科手術用はさみ)で皮膚の裏側から切除する方法で行います。手術後は1週間ほど血がたまらないようにガーゼでわきの皮膚を圧迫します。さらに、腕を動かし過ぎないなどの生活上の制約が一定期間必要になります。手術により9割以上の方は強いにおいは減少します。
気になる方、お困りの方は一度当科にご相談下さい。