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腹膜播種センター
包括的治療の不利益・合併症
大腸癌腹膜播種に対する最新の治療は減量手術と術中温熱化学療法(HIPEC)を組み合わせる集学的治療である。この治療法により長期生存する例の条件は、播種が限局している・全身化学療法を併用した例・組織学的分化型・完全切除された例である20)。胃癌では減量手術単独では生存率を改善できないが、腹膜切除による減量手術に術中温熱化学療法を含めた周術期化学療法組み合わせると、長期生存が得られると報告されている21)。また、我々は腹膜播種を有する胃癌を対象にしたRCTで温熱化学療法は有意に予後を改善させることを証明した 27)。完全切除は長期生存に必須の条件で、術前化学療法と腹膜切除を組み合わせると完全切除率は上がる22,23,27)。Glehenも腹膜播種を有する胃癌に腹膜切除+HIPECは、厳密な適応のもとに行なわれれば予後が改善されるとしている24)。
しかし、化学療法後の拡大手術(腹膜切除+リンパ節郭清)+HIPECは術後合併症率を上げる危険がある。Glehenは胃癌に対する腹膜切除+HIPECの平均手術時間は5.2時間(1.5時間~9.5時間)、30日以内の手術死亡率は4%(2/49)で、合併症は27%(13/49)であったとしている24)。われわれは96例の腹膜播種を有する胃癌96例をNIPS+腹膜切除±HIPECで治療した。入院死は2例(2%)で、膵漏・敗血症で死亡した。合併症は30例(32%)であった(表ー3)。再手術は4例に行なわれ、原因は食道ー空調吻合縫合不全による腹膜炎・腹腔内出血・小腸漏・大腸漏であった。Glehenは胃切除と2領域以上の腹膜を切除した例では合併症が47%にみられたと報告している24)。手術侵襲・手術時間・吻合の数は合併症の発生と深い関係がある。
予後・QOLを改善させない無駄な外科的治療をなくするには、術前の厳密な手術適応の決定が重要である。手術を行なう外科医は消化器外科・泌尿器系・婦人科系手術の多数の経験を持ち、腫瘍学・解剖学的・生理学的知識に精通していなければならない。
また、執刀医はその手術が患者の生存にどれだけ寄与するか、あるいは年齢・併存症の存在・術後QOL とのバランスを常に考えて腹膜切除を行なわなければならない。
Yanは術後合併症を減らし、安全に腹膜切除を行なうため、少なくとも70例の経験(習熟曲線:Learning curve)が必要であるとしている25)。外科・麻酔科・泌尿器科・婦人科医・心理療法師・看護師(手術室・ICU/一般病棟)・薬剤師・理学療法師などが協力できる腹膜切除チームや在宅支援チームとの協力が不可欠である。当センターでは手術後の在宅治療や近隣病院との連携を行なうための支援を行なっている。
しかし、化学療法後の拡大手術(腹膜切除+リンパ節郭清)+HIPECは術後合併症率を上げる危険がある。Glehenは胃癌に対する腹膜切除+HIPECの平均手術時間は5.2時間(1.5時間~9.5時間)、30日以内の手術死亡率は4%(2/49)で、合併症は27%(13/49)であったとしている24)。われわれは96例の腹膜播種を有する胃癌96例をNIPS+腹膜切除±HIPECで治療した。入院死は2例(2%)で、膵漏・敗血症で死亡した。合併症は30例(32%)であった(表ー3)。再手術は4例に行なわれ、原因は食道ー空調吻合縫合不全による腹膜炎・腹腔内出血・小腸漏・大腸漏であった。Glehenは胃切除と2領域以上の腹膜を切除した例では合併症が47%にみられたと報告している24)。手術侵襲・手術時間・吻合の数は合併症の発生と深い関係がある。
予後・QOLを改善させない無駄な外科的治療をなくするには、術前の厳密な手術適応の決定が重要である。手術を行なう外科医は消化器外科・泌尿器系・婦人科系手術の多数の経験を持ち、腫瘍学・解剖学的・生理学的知識に精通していなければならない。
また、執刀医はその手術が患者の生存にどれだけ寄与するか、あるいは年齢・併存症の存在・術後QOL とのバランスを常に考えて腹膜切除を行なわなければならない。
Yanは術後合併症を減らし、安全に腹膜切除を行なうため、少なくとも70例の経験(習熟曲線:Learning curve)が必要であるとしている25)。外科・麻酔科・泌尿器科・婦人科医・心理療法師・看護師(手術室・ICU/一般病棟)・薬剤師・理学療法師などが協力できる腹膜切除チームや在宅支援チームとの協力が不可欠である。当センターでは手術後の在宅治療や近隣病院との連携を行なうための支援を行なっている。
表―3:完全切除後の術後合併症・死亡率の年代別推移