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概要とこのセンターの背景・役割

腹膜播種は従来から治療困難な病態で、有効な治療法はないと考えられてきた。しかし、1990年代になり、周術期化学療法と腹膜切除という新しい術式を組み合わせた包括的治療で腹膜播種患者の治癒例が報告されるようになった。この治療法の開発・普及に関わったのがPeritoneal Surface Maligancy Oncology International (PSMOI)である。このグループは世界11カ国の代表的High volume腹膜播種センターの部長10名で組織されている: アメリカ合衆国・ワシントン癌センター Paul Sugarbaker, イギリス ベイシングストーク癌センター Brendan Moran, スペイン バルセロナ MDアンダーソン癌センタースペイン Santiago M Gonzalez, オーストラリア シドニー 国立腹膜切除センター David Morris, スウェーデン ウプサラ大学外科 Haili Mathema, リヨン癌センター Oliver Glehen, イタリア ミラノ癌センター Marcero Deraco, ドイツ レーゲンスブルグ大學 Pompliu Piso、北京腹膜播種センター Yan LI, 岸和田徳洲会病院・癌局所療法部・腹膜播種センター Yutaka Yonemuraの10名である。
PSMOIは第1回 国際腹膜播種学会を1998年ロンドンでBill Heald (Royal College of Surgeon)が主催し、その後2年おきに世界7カ国で開催されている。2016年は第10回大会がワシントン癌センターのPaul Sugarbakerが会長で開催される。この学会の業績は1)腹膜播種の分布・量を評価するPeritoneal Cancer Indexを確立普及させたこと、2)腹膜播種を安全に完全切除できる腹膜切除の開発・普及、3)温熱化学療法の有効性を証明、4)腹膜切除と周術期腹腔内化学療法を組み合わせた包括的治療の標準化、4)腹膜播種を有する胃癌・大腸癌・腹膜中皮腫・虫垂癌・卵巣がんの長期生存率を改善させたことである。
現在、ヨーロッパでは各国に1-2箇所のHigh Volume Centerがあり、これらの施設では包括的治療法は公的保険の支払い対象になっている。また、この包括的治療を行っている施設はアメリカ合衆国で50病院、ヨーロッパでは200病院で行なわれている。2010年イギリスではこの包括的治療が大腸がん腹膜播種の最も有効な治療であると明記している (NICE interventional procedure guidance [IPG331]-1, Published date: February 2010: http://www.nice.org.uk/guidance/IPG331)。
2002年静岡癌センターで日本で最初に腹膜播種科がつくられたが、その部長であった米村豊医師は2007年6月岸和田徳洲会病院に癌局所療法・腹膜播種センターを創設した。現在、このセンターは国内のみならず世界的にも数多くの患者様の腹膜手術を施行している治療センターである。
また、このセンターは海外の医師がこの治療を修得するための研修プロジェクトも行なっている。2007年から、ドイツ ベルリン大学、中国 武漢Wuhan大學、上海Fudan大學、Jjiaotong大学Ruijin病院、エジプト タンタ大学、ベルギーZiekenhuis Oost-Limburg, Genk、アメリカ ワシントン癌センター、イタリア ミラノ癌センター、スペイン Gregorio Maranon General Hospital, Madrid、ロシア Thoraco-abdominal oncosurgical Department、 スウェーデン Akademiska sjukhuset, Uppsala、韓国 SAM Anyang Hospital, Asan Medical Center、台湾 Taichung Veterans General Hospital、トルコ Clinic Derince Education and Research Hospital、ブラジル Ac Camargo Cancer Center, サウジアラビア  Prince Sultan Military Medical Centerから28人が腹膜播種治療プロジェクトの研修を受け、自国に帰りこの包括的治療を行なっている。