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手術方法

腹膜切除は腹膜播種に侵されている腹膜を完全切除する方法である。壁側腹膜切除と臓側腹膜切除がある2,5,6)。肉眼的に転移のない腹膜は可及的温存する。壁側腹膜切除には横隔膜下面腹膜切除・壁側腹膜切除・骨盤腹膜切除が行われる。
切除前に腹腔内遊離癌細胞を腹腔外へ洗いだすため、1リットルの生食水を腹腔内へ入れ、攪拌洗浄・吸引を10回繰り返す(Extensive Intraperitoneal Peritoneal Lavage: EIPL)。
横隔膜切除は図1のように横隔膜筋層を露出するようにしてボールチップ型電気メスで剥離し横隔膜を覆っている腹膜を一括切除する。骨盤腹膜は図—2のように剥離し、直腸が高度に侵されていた場合は直腸を合併切除する。直腸・結腸吻合を機械吻合で行い、縫合不全の防止のため回腸に人工肛門を造設することがある。大網は最も早期に転移が見られるので切除する。このとき胃癌手術のときの大網切除と同じように行う。横行結腸が巻き込まれていたら結腸合併切除も行う。小網・肝十二指腸靭帯の転移を十分観察し、転移があれば切除する。 肝臓被膜や肝臓周囲の靭帯は高い頻度で転移が認められる。図—3のように肝臓の被膜を肝実質から剥離するようにすれば完全切除できる。
この方法を用いることで肝臓は全て温存できる。これをグリソン被膜切除という。また、肝門部・尾状葉および網嚢上窩の転移巣切除は肝動脈・胆管・門脈などをテーピングし、我々が開発したアクアダイセクションで切除できる。アクアダイセクションでは低分子デキストラン+アドレナリンを組織内に注入し、血管や臓器を傷つけない安全な剥離層を見つけることができる。 脾臓の被膜も同様に転移しやすいので必要があれば摘脾をスる行なう。粘液が腸間膜に薄くこびりついているようなときは電気メスやアルゴンビーム凝固装置で蒸散(electric evaporation)させることもある。
小腸や。小腸間膜の転移も可及的切除するが、小腸が少なくとも2mは残るようにする。これ以上の切除を行なうと生涯にわたる中心静脈栄養点滴が必要になる場合がある。
出血量が4-6リットルを越えた時点で手術は終了し、腫瘍が遺残する場合は数ヵ月後に再切除(redo surgery)を行う。 切除後はリンパ管の切断や出血などで腹腔内にこぼれ出た遊離癌細胞を洗いだすため生食1Lx10かいのEIPLを再度行なう。

図-1:横隔膜腹膜の切除

図-2:骨盤腹膜の切除

図-3:肝被膜転移の切除:肝臓を温存しながら腫瘍を切除できる